子なし専業主婦の人的資本

子なし専業主婦

先週一人と一匹でキャンプした時のことです。一人の女性に話しかけられました。最初の質問は「ソロですか?」だったので、「はいそうです」と答えました。するとその女性は出身地をはじめ、キャンピングカーで旅をしながら暮らすライフスタイルをとても気に入っていること、他にもあれこれ一気に話し、「で、あなたはフルタイム?パートタイム?」と聞いてきたのです。こういうとき、言葉って難しいなぁといつも思うのですが、最初の質問の「ソロ」は「1人で」という意味もあると思うのですが、「独身」という意味、そして、「ワーキャンパー(キャンピングカーで旅をしながら仕事を探す人たち)としてのソロ」が一番強かったように思います。なのでフルタイムとパートタイムは、社員として働いている人をフルタイム、アルバイトとして働いている人をパートタイムと表現するのが普通ですが、ワーキャンパー業界では、(大抵は家を持たずに)完全にキャンピングカーだけで仕事を探しながら生活している人をフルタイム、仕事があるときだけキャンピングカーで現地へ向かう人をパートタイムと表現するので、つまり、ワーキャンパーであることが前提で話しが進んでいます。勘違いさせてしまって申し訳ないと思いつつ、ワーキャンパーではないことを知ってもらわないといけないので、「フルタイムでもパートタイムでもなく、ただ犬とハイキングするために来ただけですよ」と答えました。すると「え?あなたは何をしている人?」とやっと聞いてくれて「専業主婦です」と答えたら、ニコニコだった顔が一気に表情のない顔に変わって、「あー、そうなの、よい旅を!」と言って去っていきました。

大抵の人は自分と似た感じのする人を見つけると、似た状況にあると期待します。私ももちろんそうで、初めて会った人が結婚しているのか、子どもはいるのか、仕事はしているのか、趣味は何なのかはとても気になるし、なんとなく子なし専業主婦だったらいいなぁと期待はいつもあります。同じ状況だと話しが盛り上がるし、共感して楽しい時間が過ごせると思うからです。でも現実は似たような状況の人なんてほとんどいないんです。豊かな国に住んでいれば価値観の多様化は必然ですから、どんな人もマイノリティになるからです。だから、誰に何を質問されようと、言われようと、その意図を勝手に想像して落ち込むのは、意味のないことなのだと、10年くらいかかって、やっと思えるようになりました。

また、アメリカで働いている女性は初対面で必ず「あなたは何をしている人?」と聞いてきます。ここで「専業主婦です」と答えると「オッケー、わかったわ」で去っていきます。ここで話しを合わせて意味のない会話をすることはありません。この態度に最初は傷ついたし戸惑いましたが、今では楽だと思うようになりました。ここで自分がいかに仕事のやり甲斐を見出して充実した人生を送っているのか話されても、専業主婦の私は共感できないし、主婦をしながら趣味に生きる毎日が楽しいと私が話しても、仕事をしている人には興味のないことだと思うからです。あなたと私は違って当たり前なのだから、お互いがお互いをリスペクトできる間柄でないと、知人にはなれても友達にはなれません。

ところで、橘玲さんの著書に「専業主婦は2億円損をする」がありますが、私はこの本を読みませんでした。単純に、専業主婦は収入がないから2億円くらいは損するよねと思ったからです。先日その焼き直しとも言える「2億円と専業主婦」が出版されまして、こちらは読んでみました。読んでみてわかったのですが、橘玲さんの本に「幸福の「資本」論」があるのですが、この本を専業主婦版に書き換えたものでした。人には人的資本、金融資本、社会資本の3つがあり、この中の2つがあれば人は幸せになれのでは?という内容です。これを専業主婦に置き換えると、人的資本(働いてお金を得ること)がないので、最低でも金融資本(貯金)と社会資本(人とのつながり)の2つを確保しないと幸せになれないということになります。しかし実際は特に金融資本がない専業主婦が多く、一歩間違うと簡単に貧困生活に転げ落ちる可能性が非常に高いのだとか。そのため、危機管理をしっかりとしなければいけないということと、自己実現は専業主婦では達成しづらいので、そのあたりを考え直した方がいいのではという内容になってました。専業主婦の幸福度などのデータもあり興味深くはあるのですが、専業主婦は子どもがいることを前提に書かれているので、子なし専業主婦さんが読む場合は、当てはまらない部分が多くありますから、読むのなら「幸福の「資本」論」の方がいいのかも?とは思いますが、わかりやすさで言うと「2億円と専業主婦」の方がわかりやすいかもしれません。あと、橘玲さんご自身はリベラルと宣言されていますし、出版社もリベラルな方が多い業界なので、専業主婦は絶滅危惧種のような書き方がされている部分は多々あると思います。参考までにアメリカでは、子育てをしている夫婦の5人に1人は専業主婦(主夫)というデータがありますので、子どものいる専業主婦さんは絶滅危惧種とまではいかないと思っています。ただ残念ながら、子どものいない専業主婦は絶滅危惧種かもしれません。子どもをアダプトする仕組みと文化が根づいているのと、男女平等の考え方をする人が多いのとで、子どもがいないのに専業主婦するのはフェアではないと考える人が多いからです。

最後に個人的なことですが、私は今年50歳になりました。専業主婦になったきっかけは、37歳の時にアメリカへ引っ越したことで、引っ越してからしばらくは日本語の在宅の仕事をしていましたが、在宅の仕事が一段落して、いざアメリカで仕事を探そうと思ったとき、情けないことに英語がついていきませんでした。ぼやぼやしていたらリーマンショックになってしまって、英語力に問題のない人でも仕事を探すのが大変な状況だったので諦め、専業主婦に甘んじることにしました。そして現在は主婦業もそこそこに、完全に趣味に生きる生活をしています。その趣味が万が一にも仕事になったら楽しいだろうなぁとは思っていますが、そのために努力をしているわけではありません。ただ、運良く渡米する前に橘玲さんの本と出会って危機管理能力を植え付けられ、「子なし専業主婦になる=不良債権」と自覚していたので、40代は不労所得を得るためにひたすら節約してお金を貯めました。それが功を奏して金融資本だけはなんとかなっています。ただ、相変わらず人的資本はありませんし、このブログをお読みの方はご存知かと思いますが、人付き合いが苦手なのでほぼほぼ夫のみが社会資本です。かといって、今更仕事を探すのは考えられないし、友達を増やすのも無理だと思うので、やはり、自己実現も含めて趣味を仕事にできればいいなぁと思っています。

幸せのカタチは人それぞれで他人にとやかく言われる筋合いはないことですが、万が一のことを考えて危機管理をするのはとても大切なことです。もし、今後の生き方について悩んでいる方がいれば、橘玲さんの本を読んでみるのも1つの方法だと思います。

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